交流13 ”摂理”と教祖チョンミョンソクの名を知った話。

 僕はTwitter上でもこのブログ上でも、またリアルでの生活上(!)でも、”摂理”や教祖の名前であるチョンミョンソクの固有名詞をよく使っています。しかし、摂理の信者たちは最初の勧誘から、バイブルスタディの間でさえも、これらのような教団名や教祖の名前を教えてくれることはありませんでした。調べたところによれば、バイブルスタディを受けている中で良く出てくる”牧師先生”が、実は成約の時代に生まれた再臨のキリストであると”自分から言い出す”ほどに洗脳・教化が進んだところで初めて教えられるようです。僕はそのルートを辿って知ったわけではありませんでした。今回はその辺に関するお話です。

 まだ摂理の教えに対してそこまで疑念を持っていなかったころ(2019年3月中旬ごろ)のことです。摂理の信者たちはことあるごとに”牧師先生”の話をしていました。当時は僕は彼らの話を信じていたので、胡散臭いななどとは思いませんでした。(!)しかし、聖書の勉強と言っていたはずなのに、聖書由来ではない話、すなわち”牧師先生”の話を根拠不明のまま講義内で挿入されることについては少し疑問を持っていました。ですが、本格的な疑念を生じるところまでは至っていなかったかと思います。

 彼らの言うところによると、その”牧師先生”とやらは、様々な伝説を持っているようです。曰く、聖書を2000回読んだとか、ベトナム戦争に従軍したが聖書の教えを守るために人を一人も殺さなかったとか、そんな話です。まっさらな頭で聞いてみればなんかすごい話です。そんなすごい人なら、調べてみたら何か情報が出てくるだろう。出発点にあったのは、かの”牧師先生”に対する、単なる知的好奇心であったと思います。そんなことを考えて、彼らの話の節々から聞いたフレーズ(ベトナム戦争、聖書2000回、牧師)などを検索エンジンに入れて調べてみたりしました。そうしたら、ある一人の男の人の特設サイトにであったのです。それは次のURLに示すものです。

https://jung-myung-seok.com/

 このサイト上に記載されていた話は、彼らの話に出てきた伝説と殆ど一致する。どうやらこの人があの”牧師先生”らしい。そして、このサイトによれば、その先生の名前は鄭明晰、チョンミョンソクというらしい。なるほどなるほど。この人はどんな人なんだろうな。そう思って、この名前を同様に検索エンジンに入力してみたときのことです。そうして、彼は”摂理”という教団の教祖であり、信者の女性に対する強姦罪で国外逃亡したが、逃亡先の中国で捕まり、実刑判決を受けたことを知ったのです。

 なんという人間の屑でしょうか。しかし、最初、この情報を見たとき、僕は信じられなかったのを覚えています。あの牧師先生がそんなことをするはずはない。そのような言葉が頭の中で強く反響していました。(今でさえ散々にこの教祖・教団に対して文句を言っていますが、そんな僕でさえも、当時は本当に信じられなかったのです。カルト宗教のマインドコントロールというものは、かくも恐ろしいものなのです。)

 しかし、だからといって、このような、自分に対して都合の悪い情報(あの素晴らしい話を最初に伝えてくださった牧師先生が信者に暴行を働き、逮捕されているということ!)に対して、目を背けるようなことはしませんでした。それは、理性の働きでも、また感情の働きによってそのようにしたわけではなかったと思います。それら二つのうち少なくとも一方に従っていれば、そのような情報は真理でない、真実を説くものは迫害される、イエス様もそうだったじゃないか、そのように考えてファクトチェックを怠り、立派なカルト宗教の狂信者になっていたことでしょう。では何によって、僕はこのような思考の束縛から逃れえたのか。それは電通大で訓練された、主張には明確な根拠をつけること、情報のソースが信頼に足りるかどうか検証をすること、そのようなアカデミズム・情報リテラシーの”習慣”によるものであると思っています。チョンミョンソクが本当に”善い人”であるなら、それは明確に根拠づけられてしかるべきである。その根拠というものを、電通大でのカリキュラムによって身につけられた”習慣”によって調べようとしたからこそ、頭ごなしに否定をしようとしなかったのだと感じています。

 そうしているうちに、またも衝撃的な資料が出てきました。

http://religion.sakura.ne.jp/religion/ms/00aim_of_BS.pdf

(川島堅二先生のHPより引用)

 これはバイブルスタディの目的について述べられた資料です。曰く、その究極目的は”チョンミョンソクは再臨の救い主(キリスト)であるという結論を導き出すことである。”とのことであり、またその次には、バイブルスタディの内容、結論、そして裏の目的が簡潔に述べられていました。これを見たとき「確かに、完璧にこれに沿ったものを教えられていた、そして、それらを合わせて考えると、チョンミョンソクがキリストであると導き出すことができる。」と簡単に考えることができました。

 この資料を読んでから、彼らの御言葉を聴きに行ってみると、実際その資料通りに話が展開されていたのでさらにびっくりしました。そうして、彼らは摂理というキリスト教系異端カルト教団組織の集団なのだなということを確信しました。

(続きます)

ーーーあとがきーーー

電通大では、情報の出どころを吟味するリテラシーに関する訓練が良く行われていると思います。それらは講義のみならず、たくさん課されるレポートや課題などを通して習慣づけられていくものであると思います。課題にはいつも追われてひどい目に遭ってきましたが、まさかそれらによって、カルト宗教のマインドコントロールから逃れられるきっかけを掴むことになるとは思っていませんでした。(出来はともかく)真面目にやってきて良かったなと今になって思います。

・このことをきっかけに、少しずつマインドコントロールから抜け出しながら、女性に対する性的暴行を働いたチョンミョンソクに対して、明確な憎悪と殺意を抱き始めていったように思います。昔に、似たような事件が僕の身近に起きた経験があったのですが、それがかの強姦魔に対する敵意を増長させ、そしてそれを黙認する信者の連中に対しても、同様な感覚を抱き始めていたように思います。そのような反感は、僕と摂理を決別へと導く大きな要因の一つになったとも思います。